鍼灸の科学化の大きな起点になったのは、昭和57年(1982年)の自律神経遮断剤によって、筋まで刺鍼しての刺激時に起きる自律神経反応が、交感神経β受容体系機能を抑制し副交感神経機能を高めることが同時に起きていることが判明したことです。
この同時に起きている二つの自律神経反応を分けようというのが次の課題であり、私の40歳代は、平成4年(1992年)に分けることに成功するまでの10年間の人体機能と向き合う10年間が人体が持つ自然、自然のリズムに目を開かせてくれました。
二つの自律神経反応を分離することに成功して生まれたのが「浅刺・呼気時・坐位の刺鍼法」であり、生体の調節力を高める、自然治癒力を高める生体への刺激法の誕生です。
この間、1985年につくば科学博が「ゆるぎ石」を創ってくれ、私はその大きな意味に気づかないまま、朝夕、大学に通勤しながら眺めていました。
そして、1992年にハットその意味に気づき、運命的な出会いを感じました。