中国の古代医学思想においては、鍼灸の治療原則として
「虚証に対しては補術を、実証に対しては瀉術を」というのが大原則です。
虚実に対する補瀉の術とは、単に生体に刺激を与えることではなく、
生体の機能状態が低下しておれば補い高め、
生体機能状態が過ぎておれば取り除き整えることを示しています。
生体機能を本来の望ましいところに調節することを意味しています。
生体機能を調節することを示すことがない治療は、
古代医学でいう鍼灸治療の範疇に入らないのです。

経験的なものとしての治療は、
「虚実に対する補瀉」ということばを使わないにしても
生体機能を調節するものでなければならないのです。

自然鍼灸学による鍼施術は、
メカニズム4は、生体自身の治す力による生体機能の調整方向を示す機転です。
また、メカニズム5・6は、自律神経機能の変動し易さをつくることにより、
患者の生体自身の姿勢が、高まりにくい機能を高め(M5)、
解けにくい過緊張を解く(M6)、反応を選択して誘起する機転です。
術者の術での調節ではなく、患者の生体の仕組みが、
必要な反応を誘起するという調節の仕組みです。

調節の仕方が、術から、科学的な研究により身体の仕組みが明らかになり
生体自身の仕組みが行う様になっているのです。
治療者は仕組みを選択するのです。

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