吉良枝郎(きらしろう)著、「日本の西洋医学の生い立ち」、築地書館。2000年3月15日初版。
書名の通り、日本の現代医学が明治の時にドイツ医学を導入してスタートするまでの南蛮医学、紅毛医学、オランダ医学、ドイツ医学という道のりを簡潔に述べられている貴重な書である。
江戸時代の鎖国政策で、長崎の出島を窓口にオランダ商館医によりオランダの西洋医学が長年伝えられていた。
「ポンペ・ファン・メールデルフォールト」は、1857年に来日し、日本の医師に5年間の本格的なカリキュラムで西洋医学の教育を初めて行った。
ポンペは、オランダ語の通訳はいても、専門用語が会話が通じない中で大変な努力をしてただ一人で教育に当たっている。
宝塚医療大学のような医療系の新設大学は、種々の問題を抱え、日々困難の連続である。
失意に陥ることも再々である。
西洋医学の生い立ちを読み、新しい時代を開拓することの大変さ、先人たちの努力、ポンペの超人的な医学に取り組む崇高な精神などに触れ、ややもすると落胆しがちな気持ちに、大きな力を、励ましをいただきました。
私たちが当面している問題などで泣き言を言ってはいけないという強い思いをしました。
そうです。
恥ずかしながら頭の中で、泣き言をいっぱい言っているわけです。