ここで問題にしたいのは、鍼灸治療において最も多い訴えの患者である腰痛患者に対して、治療を受ける姿勢をどのようにしているかということである。
というところで前回は終わっていました。
何をいいたかったのかお分かりになったでしょうか。
椎間板ヘルニア系の要素を持っている腰痛は、昔はちょっと腰を曲げるようにして過ごし、治療もしていました。
鍼灸治療をするときにはお腹の下に座布団のようなもの、胸当てなどを当てて治療をしていました。
そのように指導されたのです。
しかし、それは逆だったのです。
腰を反らした姿勢こそがヘルニア系要素の腰痛には重要なのです。
先般、鍼灸師の方々に研修会をしました。
ほとんどの人たちが腰痛の鍼灸治療で受療姿勢が修正されていませんでした。
この根拠はマッケンジー法です。
土曜の一言で2010年11月6日「マッケンジー法について」、11月13日「マッケンジー法の原理とは」というタイトルで紹介しています。
「マッケンジー法について」
身体の構造から導かれてきていることですので、当然、鍼治療時などにも応用されなければなりません。
上記2つのマッケンジー法を下記に転載します。
腰痛は最も多い訴えです。
腰痛の代表が腰椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板症(椎間板ヘルニアの初期状態)です。
全体の60%ともいわれます。
この腰痛に革命が起きています。
それがマッケンジー法です。
アメリカ、ヨーロッパなどでは20年前に起きたことです。
マッケンジー法が上記腰痛治療のスタンダードになりました。
日本は遅れたのです。
マッケンジー法の特徴は、
1 背骨を反らす運動を主体とするエクササイズです。
2 患者自身が行います。
3 身体の仕組みを主体としています。
これは本物です。
患者自身が行うという所に治療者としての名人芸など役割を主張できないというところが
人気がなかった、受け入れに時間がかかっている理由でしょうか。
生活習慣病は、良い生活習慣に対する患者の意識こそが大切です。
医療者が行うのではなく、患者自身が行うのです。
マッケンジー法は、脊柱に対する生活習慣病対策の考え方によく沿っています。
マッケンジー法のテキストです。
① 自分で治せる腰痛改善マニュアル:ロビン・マッケンジー著、訳、銅冶英雄・岩貞吉寛。実業之日本社。1.300円。
マッケンジー法開発の著者の原著です。
② 腰痛治療革命:穴吹弘毅著。発売:メディアパル。
穴吹弘毅氏は整形外科医です。治療者向けに書かれており、整形外科観点からのデーターが豊富です。1.200円。
③ 腰の激痛が消える!革命的療法!マッケンジー体操:石橋俊郎監修。宝島社。
石橋俊郎氏も整形外科医です。一般の人がマッケンジー法を実践するに良い本です。780円。
「マッケンジー法の原理とは」
マッケンジー法の原理は、偶然の出会いが発見のチャンスになりました。
1956年のある日、マッケンジーさんのクリニックが混み合っていたそうです。
3週間前から通院している患者さんが来院しましたが、
ベットで休んでいてくださいといって、10分ほどしていってみると、
ベットが少し起こされた状態で、そこに患者はうつ伏せに腰を反らす格好で休んでいました。
マッケンジーさんはびっくりして、どうですかと尋ねると、
3週間のうちでは今が一番よいとのことでした。
椎間板傷害系の腰痛は、腰を反らさないというのが原則でした。
このことからマッケンジーさんの研究が始まりました。
そして椎間板が関係する腰痛は、腰を反らす運動を行うマッケンジー体操が完成することになります。
椎間円板の構造と機能をを考えると至極もっともなことです。合理的です。
世界のスタンダードになっています。日本が遅れています。
なぜこんなに日本が遅れたのでしょう。
マッケンジー法は患者さんが自分で出来るというすばらしい特徴を持っています。
自分自身で管理する。
日本人は人に頼ることが好きです。任せることが好きです。
医師に治療者に依存することが好きです。名人のような高度な技が好きです。
これらのことが日本で遅れた理由でしょうか。
しかし、生活習慣病は自己管理が基本です。
私たちはマッケンジー法を学び国民のために患者に貢献しなければなりません。