この1ヶ月間、百田尚樹さんの小説に恋をしていました。
「海賊とよばれた男」上、下巻(4月20日、27日の「土曜の一言」)
「夢を売る男」
「永遠の0(ゼロ)」
そして「出光佐三語録」(5月25日の「土曜の一言」)
でした。
心が震える思いをして過ごしました。
すばらしい時間でした。
私は研究者としての生活を始めてからほとんど長編小説を読みませんでした。
数年前の司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」が例外でした。
今回、大学の専任教授を退職したという気持ちの変化もあり、書店で本屋大賞第1位として大々的に販売していましたので、どんなものかと思い手にして読んだというわけです。
すばらしい時間をいただきました。
新幹線に乗ってもビールを飲もうという気持ちをも忘れて本を読む方に没頭します。
ビールを飲むよりも気持ちを誘われるものがあると、ビールはいらないというわけです。
そんな夢中になれる時間は、しかし一方でやはり仕事が停滞しました。
頭を支配されます。
研究者、臨床家、教育者としての生活は、常に頭のどこかで研究のことを、教育のことを考えているのです。
そのような時間の過ごし方が、新しいアイディアを生み、新しい構想を練り上げてくれます。
この一ヶ月間、小説に時間を割きすぎたという反省です。
大学の専任教授は退職しましたが、研究者、教育者としての生活は退職した気持ちではないのです。
電車に乗っても、駅の構内を歩きながらも携帯端末機を見続けている人たちの多いことです。
なにを見ているのでしょう。
テレビが普及し始めたときに「国民総白痴化」といわれました。
時間を頭脳を占領されるのです。
大変なことになるのではないでしょうか