自然鍼灸学・自律神経臨床研究所は、自然鍼灸学・自律神経機能につ
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自然鍼灸学・自律神経臨床研究所
所長:西條一止
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「身体の調節する力、治す力」について(1)   

                                    自然鍼灸学・自律神経臨床研究所 所長

                                西條一止

自然界の生き物は、生きる力を持っています。
そしておそらく環境条件に恵まれた幸運なもの達が生き残ってきているのではないでしょうか。

地球の自然が育んだ生き物なのです。
地球上の生き物はみな地球の自然に育まれて生きてきました。
地球の自然には当然、生き物を育む力と害する力もあります。

私が子どもの頃、第二次世界大戦中、大戦後は食糧難でした。
農村部ではニワトリ、ウサギなど手軽に飼える小動物は多くの家で飼っていました。
これらの動物が病気になるという場面にほとんど遭遇しませんでした。
ニワトリやウサギは肉の供給源でしたから手頃なときに食べられてしまったということでもあります。

犬やネコは、病気というよりもけんかをして怪我をすることがよくありました。
家に帰って丹念に傷口をなめ続けます。
唾液での消毒、なめることにより血液循環を良くし回復力を高めることだと思いますが、傷をなめるなどは本能的医療行為とも位置づけられるかと思います。

自然界の動物は、いのちを害するものを避ける力を持っていることは多くの動物で確認されています。

鮎が1㎡のテリトリーをつくり他の魚を入れないということで、えさの藻を確保する。
これは本能です。

ニホンザルが食べものを選ぶ、これは親ザルが教育して子ザルに学ばせるものです。

えさを選ぶなど行動としていのちを支える力、これには本能としてのものと、学びとしてのものとがあります。

もう一つ、細胞、組織として持っているいのちを支える力が、動物、植物にあります。

恒温動物では、恒常性保持機能という言葉でまとめています。
自律神経、ホルモン、免疫の三つが総合されて行われると考えられます。
これは身体に自然の仕組みとして備わっている働きなので自然の仕組みによる調節力として、環境の変化に対して生体を恒常に保って生きています。
変化しながら一定の状態をある範囲内に揺れている状態が動的平衡です。

一定の範囲の中をゆれながら維持している状態が健康です。
一定範囲を一定時間以上逸脱して、一定範囲内に戻りにくい状態は異常です。
それは細菌やウイルスや物理的、化学的外力、心理的作用などによって通常の範囲を超えた変化が起きた時には恒常性保持機能の管理が直ちにはできず緊急事態として炎症などの変化が緊急対応として起き、少し時間をかけて徐々に回復します。
身体の治す力で回復可能なレベルとそれでは及ばないレベルがあります。
ここに医療が投薬、手術などとして介入しています。
医療が関わらなければならない場面でも身体の治す力へのサポートが併用された方が望ましいことは明らかです。

異常が通常の範囲に戻ったとき回復したといいます。
治癒というのは全治という意味です。
関節リウマチなどは治癒とはいわず、寛解といいます。
そういう意味では、自然治癒力は、言葉として適当ではないかと思います。
自然回復力の方が適切な使い方かと思います。

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