志賀一雅さんというα波の研究者の方が、「全身の疲れ」がスッキリ取れる本(三笠書房)、という題名の本を書かれました。
その本の132、133頁に脳波の共鳴現象について書いておられます。
「気が合う」とか「あうんの呼吸」といわれるものも脳波の共鳴現象と捉えると、合理的に説明することができます。
脳波がひとたび共鳴するなら、何も話さずとも考えや感情などが相手に伝わると考えられるのです。
脳波の共鳴現象については,私は興味深い実験データを持っています。
たいへん腕がいいと評判の鍼灸師とはりを打ってもらう患者の脳波を同時に計測した時のことです。
鍼灸師の脳波にα波が現れ始めると、患者さんの脳波もα波になっていったのです。
つまり、脳波の同調現象が認められたということです。
何人かの患者さんを計測しましたが、中には同調現象が現れない人もいました。
そこで興味深いのは、同調原書が起こった患者さんの方が治療効果が大きいということです。
同じような症状の患者さんでも、同調現象が起こった患者さんの方が治りが早いのです。
これを私なりに解釈すると、次のようになります。
患者さんが、鍼灸師を心から信頼していると、鍼灸師の脳波と共鳴し、同調現象が起こります。
脳波はα波になりますから、脳が活性化され、ドーパミンをはじめとして、さまざまなホルモンが分泌され、患部の治癒を早めたのではないでしょうか。
ここでポイントとなるのは、信頼と共鳴です。と書かれています。
鍼灸師は、心穏やかに脳波にα波を出せる状態を求められます。
その鍼灸師を患者が信頼していれば患者に共鳴現象が起き身体によい状態が現れる。
治療者は、治療の理論、技術のみでなく、α波を出せる心、精神が求めらるということです。
まさに心・技・体一体となった上達が期待されています。
大相撲の世界だけではなく横綱を目指さなければなりません。