1月31日の朝日新聞の天声人語です。
・・。時の人になった小保方晴子さんも、先入観や常識に縛られない人のようだ。
つくりだした万能細胞は、その方法の単純さで専門家を仰天させた。
紅茶程度の弱酸性の液に浸すだけといい、はじめは誰にも信じてもらえなかったという。
権威ある英科学誌も最初は論文を突き返した。
その際につけられた「何百年にもわたる細胞生物学の歴史を愚弄している」という激しい意見は、遠からず伝説となろう。
それほどに常識を覆したことの証である。
造物の神様が生命の森にそっと隠したカギを、先入観に曇らない目が見つけた。
そんな印象だ。
つらいときも、泣いた夜も、今日一日、明日一日だけ頑張ろうと思ってやってきたという。
新発見には運や偶然もあろうが、物理学者の寺田寅彦は言っている。
「科学者になるには自然を恋人としなければならない。
自然はやはりその恋人にのみ真心を打ち明けるものである」。
快挙を讃えつつ、努力の総量を思ってみる。
と解説しています。生命を人工的に操作するのではなく、自然の流れの中に潜んでいる力を見いだしたという点は、最も大きな偉業かと思います。
「自然を恋人とする」何と響きの良い言葉でしょう。