タイトルは、2016年1月24日(日)朝日新聞朝刊、科学の扉の記事です。

生態・知能・ 解明の鍵握る湖  

南アフリカのタンガニーカ湖は、「進化の実験室」とも呼ばれる。
閉じられた環境のもと、少数の祖先から200以上の種のシクリッド(カワスズメ)という淡水魚が生まれ、多様な生態を持つからだ。
世界中から関心を集め、進化や知能の解明に向けた研究が進んでいる。


体長約8cmの小魚でも高度な論理的思考を巡らせている。--大阪市立大学の研究チームが、タンカニーカ湖にすむシクリッド「ジュリドクロミス」の、縄張り争いの性質を利用した実験で突き止め、スイスの専門誌に昨年発表した。

同じ大きさの雄3匹(A、B、C)を1組とし、まずBとCを同じ水槽で争わせた。
勝ったBを残りのAと争わせ、隣の水槽でCに観察させた。
こうしてAがBに勝ったケースを12組そろえた。


次に、AとCをガラスで仕切った水槽に入れると11組でAがCを攻撃しようとし、Cは逃げるよう動く様子が見られた。
Cは直接戦っていなくても、「AがBより強く、かつBがCより強ければ、AはCより強い」と、強さの順位を論理的に導き出したのだという「哺乳類や鳥類に劣らない、思考能力。
もっとシンプルな思考しかできないと思っていた」と実験した大学院生の堀田崇さんは話す。
ジュリドクロミスの脳の重さは0.04㌘、体重に対する脳の重さの割合は約1.7%で、ヒトの約1/3という。
思考や記憶などをつかさどる「大脳皮質」も発達しておらず、原始的とされる。
それだけに、鳥や哺乳類と同じ方法で調べることで、脳の認知能力などの進化の謎に迫ることができるかも知れないと期待されている。
・・・・以下略。

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