長い年月の間に湖や海の底に堆積した層が描くしま模様「年縞:ねんこう」。
福井県の名勝「三方五湖:みかたごこ」の一つ「水月湖:すいげつこ」の年縞は、乱れが無いことから地質学の考古学で年代を測定する世界標準の「ものさし」となった。
研究者から「奇跡の湖」と呼ばれている。
以上は本年12月3日の朝日新聞、朝刊、科学の扉の記事である。
三方五湖の一つ三方湖ほとりに9月、世界でも珍しい博物館がオープンした。
水月湖の年縞をメインにした「福井県年縞博物館」だ。
ガラスの額縁に湖底から掘削された45m分の年縞が展示されている。
「年縞は地球の履歴が記録が詰まっているタイムカプセルです」
1991年から水月湖の研究に取り組んでいる立命館大学古気候学研究センタ-長の中川毅教授は話す。
中川さんは水月湖の湖底をボーリング調査し、45m分の連続した年縞を採掘した。
縞の一層が1年に相当し、一層の暑さは平均0.7mm。
ざっと計算すると約7万年分の縞を刻む。
「世界でも類を見ない奇跡の湖です」と中川さんは強調する。
(以下は原稿量の関係で西條が略)
なぜ奇跡なのか。水月湖の周囲の自然環境だという。
全世界で使える統一した正確な「ものさし」が必要だ。
そこで全世界で使える統一した「ものさし」を作る国際プロジェクト「イントカル」が立ち上がり1998年に最初の換算表が発表された。
現代から1万2550年前までは木の年輪を「ものさし」としたが、問題は樹木の残らないそれよりも古い年だった
そこで役に立つのが「年縞」である。
従来、例えば、ネアンデルタール人は、3万年前に絶滅したと考えられていたが、およそ4万年前とする説が浮上した。
時代の「ものさし」の精度をさらに上げようと世界各地で研究が続いている。