1 NHKためしてガッテンの「肩こり」
本年9月9日NHKためしてガッテンは、「肩こり治療」についての放送であった。
群馬県の木村裕明:整形外科医師
① 超音波診断機で肩こりを筋膜の「しわ:癒着」として、客観的に捉えていた。
② その部への注射器による生理的食塩水の注入により、筋膜のしわが消えてゆくのを映像として見せていた。
③ 肩こりの所見がその場で改善する。
首都大学東京、竹井 仁教授
④ 運動・徒手による筋膜リリース
④-1 手技で筋膜の「しわ」を伸ばす。
④-2 運動学的に筋膜を多方向に牽引ししわを伸ばす。
上記の放送では、
⑤ 肩こりの原因を、「筋膜のしわ」という新しい視点で捉えている。
従来、筋を揉むという方法では、すぐ元に戻るという評価であった。筋膜リリースは、肩こりの元を改善するので効果がそれなりに持続するという主張であった。。
2 反省と今後の取り組み
私は、ためしてガッテンの第1回のゲストでした。21年前である。
この番組に猛烈なショックを受け、反省仕切りである。
肩こりといえば、鍼灸師、マッサージ師、ツボは:肩井が定番であった。
私自身、肩こりについて、ほとんど研究らしいことをして来なかった。
そのことについて反省仕切りである。
肩こりを治療する人は皆、本番組を見て考えなければならない。竹井 仁教授が示していた、筋肉リリースを良く観察し単にまねるのではなく、その本質を見極めなければならない。
超音波診断機を用いることができる機関では、筋膜のしわを捉え、改善への取り組みを早急に行いたい。という状況である。
鍼灸、手技を治療手段とすることを目的とた、職業教育、研究を生涯の仕事としてきたものの責任として何かしなければとの思いである。
筋膜の「しわ」は生きている生体現象である。生理的食塩水の注入でリアルタイムで改善するということは、やはり生体現象として捉えなければならないことを示している。
今後の研究の発展が期待出来ると考える。
肩こりは、筋膜のトラブルが大きな原因ということを考えた。
筋膜のしわ、癒着は、筋繊維に直角の方向には日常的な動きの関係で起きにくいと考える。
それは筋肉の動きそのものがおそらく作らせないと考える。
正常な動きができない時には当然、筋繊維に直角方向にも起きるはずであるが。肩こりというようなごく身近なトラブルとして起きており、筋膜リリースで改善していることは、軽度の歪み現象と考える。
したがって、身体の動きが制限されるような状態では、より多方向に重傷な「しわ、癒着」が起きて来ると考える。
ほぼ正常な動きが可能な状態の身体では、筋繊維の方向と同方向の筋膜のしわが生ずる可能性が高い。
このしわを改善させるには筋繊維に直角の方向に筋膜を動かす(牽引する)ことが有効である。
ここに対策へのポイントがある。
今年の2月18日のためしてガッテンの放送が、「動的ストレッチ」「ダイナミックストレッチ」でした。
通常の持続的牽引を主とするストレッチとは異なり、柔軟性も高まるが筋力も高まるとのことでした。
身体を大きくゆったり動かすとのことでした。
動的ストレッチは、メカニズムは筋膜リリースをしている可能性が高いと考える。
関節の屈曲、伸展運動ではなく関節を大きくねじるようにゆっくり動かすと筋膜リリースが起きやすい動きになる。
竹井教授の運動による筋膜リリースは、延ばして最後はねじりをゆっくり与えていた。
試してみてほしい。 4 西條式筋膜リリースの試み
典型的な解けない筋の過緊張である背部深層背筋の棒状の筋緊張に対する筋繊維に対して直角の方向への牽引を試みている。この背部の解けない筋の過緊張は、私が未病の徴として第1に揚げ長年鍼治療の大切な指標としてきたものである。
牽引の仕方は:方向が筋繊維に対して直角の方向。
両手の四肢をどこに置くかであるが、筋が膨らんで硬くなっている縁に4指を並べて引く。
それを外側と内側に両方行う。筋膜のしわを伸ばすのであるから、しわを指腹の中に抱え込んでは上手くないと思う。
しわを四指の爪の外側においてこそ最も能率的にしわを伸ばせるかと思う。
四指の置き場所など状況に応じて種々工夫が必要かと思うが、背部の筋緊張が2,3分で、柔らかくなる。
効果は抜群である。
深層背筋の筋緊張が1回の施術で1週間ほど良い状態が継続する。
鍼灸手技の臨床を一変させる可能性がある。