筋の緊張が強いほど雀啄刺激はゆっくりとする。
患者の緊張を緩ませない何かがないか周辺をよく見渡す。
心の目で診る。
優しい鍼、急激に刺入しないこと。
刺入スピードを一定にして急な刺入感を作らないことである。
抵抗物に触れたら、刺手の力を如何に速やかに緩めることができるかである。
普段の練習が必要。
合谷の刺鍼は十分な配慮を用いて行われなければならない。
押手と刺手、大きな力を小さく使う、ゆっくり刺入、スピードを一定に、というところが大切である。押手と刺手は、押手で上に力を用い、刺手の下に向かう力と拮抗させ、刺手の力をやや強くして刺入するものである。

  鍼治療により生体反応の方向性を支持するのは、

1 交感神経サイドから   
   高まりにくい機能を高める、緊張を高めるのは、M5。
   解けにくい機能を解き低下させる、緊張を緩めるのは、M6。

2 副交感神経サイドから   
   M4。

3 副交感神経機能が優位過ぎる。交感神経機能が低下している。
   むかむかする。嘔気、嘔吐、  
   交感神経機能を高めて対処する。M5.

4  副交感神経機能が低下している。  
  身体が弱い。   
  M4中心。   
  副交感神経優位になりやすい、M5をうまく用いる。

1 治療対象の病態に対し、決め手となる治療を後に行う。地ならしをして条件の整ったところで決めてとなる治療を登場させる。

2 運動器の疾患について 訴えの病態から離れたところから治療をはじめ、病態のところに進める。 
 ダメージを受けている病態の部に最少の刺激で治療する。

3 内科系疾患について
 内科系疾患は、病態に直接刺鍼できない。M5,M6、M4が決め手の治療となる。 
 M5、M6、M4を地ならしをして登場させる。

 

4 腹部は、全身の体液分布を調節する働きが大きいので治療の早い段階で登場させる。

5 M4により解決できるものは解決して治療を進めるという立場から最初に行う。

6 M4は、副交感神経機能を高めるという反応から始まるので、副交感神経機能が高まるという反応が好ましくない気管支喘息などの発作が懸念される場面では最初に行えない。

1 揉ねつは、基本的に、交感神経機能β受容体系機能を抑制
                交感神経機能α受容体系機能を亢進
                副交感神経機能を亢進
                する。
2 M4と揉ねつ
  M4の前後では、交感神経機能β受容体系機能を抑制は好ましくないので行わない。

 


3 M6は、緊張を緩める反応を期待するので揉ねつを行うことは望ましい。

4 M5は、前揉ねつは変動しやすさをつくるのでよいが、後揉ねつは、交感神経機能β受容体系機能を抑制は避けたいので行わない。

5 M1、2、3は、前後に揉ねつを行った方がよい

はり、ハリ、針、鍼どのように書いても「痛さのイメージ」が付いてきます。
一般の人達に調査すると3人に2人は、鍼は「痛い」、「怖い」と思っています。
幼いときに予防注射で泣いた記憶が蘇るのです。

中国の古代社会では、あらゆる身体の不具合に「鍼」で対応しようとしていました。
そこから9種類の鍼があるとされています。古代中国では「9」は、あらゆるもの全てを意味していました。

9種類の鍼があれば、あらゆる状況に対応できると考えられたのです。
9種類の鍼は大きく3種類に分けられます。

 一つは、身体を切り開くものです。これはメスに発展してゆきました。
 一つは、「刺す」鍼です。
 最後の一つは、刺さずに身体の表面から刺激を与える鍼です。

このように鍼はもともと「刺す」ものばかりではないのです。
「触れる」、「押す」、「ひっかく」など様々に刺激を与えます。
現在も実際に刺さないはりは、「小児鍼」としても用いられていますが、もっと広く大人にも活用されて良いものなのです。

さて、鍼を刺さない鍼灸師ってありでしょうか。
日本では、種々の免許制度から欠格条項が外されました。
つまり医業であれば、医業の全てができなければ医師にはしない。というのが従来の考え方でしたが、医学が理解できれば、医業の全てはできないがある部分ができれば、医師にしても良いという考え方に変わったのです。
そこで、目の見えない人、耳の聞こえない人達も、医学部に入学できるし、医師国家試験も受験できるのです。

鍼を理解することができる。
それは身体の仕組みを学ぶと言うことです。
鍼は用いる道具の一つにしか過ぎません。
「刺す鍼」を道具として使わなくても鍼療法はできるのです。
科学的な新しい道具として「低出力レーザー治療器」、「低出力超音波治療器」など、20世紀に登場した新しい道具です。
古いものを尊重し新しいものを付加し常に新たな展開があります。
「刺さないはり」イメージが随分違うと思います。
「怖い」、「痛い」はなくなり、親近感が大きくなります。

私達は、古代東アジアの文化遺産ともいえる、そして身体についての特に「身体の治す力」に対処するすばらしい経験医術に親しみを持ち広く貢献できるようにしたいのです。 
21世紀の先進諸国の人々は、「身体の治す力」への対策が求められています。
鍼を刺す技術が低くても好いということとは全く別のことです。 

安定した、心地よさのある刺鍼に刺手の安定化は、押手と共に最も重要なことです。柔らかく、じっくり力が伝えられる刺手です。指・手・肘・肩関節の柔らかさが重要です。
関節の柔らかさを訓練するのは、刺手の示指を軽く机などに触れ、身体を動かしても触れている刺手の示指先が動かないように、身体の動きが触れているものに伝わらないように出来るよう練習します。押手と刺手との間で、押し合いをし刺手の力をわずかに大きくすることで、このわずかに大きい力で刺入します。

私は、前から押手は軽い方でした。
押手といっても時とところによって様々なのですが、背中や腰などに行うときの話です。押手は、軽いほど良いということを最近悟りました。
背中や腰などは、筋の緊張所見をとらえるために深いところまで押し込んで診ます。
そして緊張所見を見つけそれを放さないようにしてその所見に直接刺鍼します。
そうすると強く押さえ込むような押手になりがちなのです。
しかし、押さえ込んでいる力が、刺鍼される人の身体の押さえられている筋に反発の緊張を作ります。
この筋の反発の緊張が問題なのです。
筋に鍼先が触れて、筋が不随意に収縮することがあります。
この時に筋に反発の緊張があると、不随意な筋収縮が大きな筋収縮になります。
反発の緊張がなければ小さな収縮で終わります。
腰で起きがちです。
所見をつかんだら、切皮をする前に、押手の力をすっと抜き、皮膚に触れる程度にします。
筋に反発の緊張がないと、楽に刺鍼が進みます。
不随意な筋収縮が起きてもピクリですみます。ここのところ施術所で意識してこのことの確かめをしました。
納得しました。
刺鍼の技術が一段と上達した思いです。
何十年やっていても教えてもらえるものです。
教えてもらえるチャンスを自ら作り出すことが大切かと思います。顔の刺鍼は如何に押手の接触面を小さくし、軽くし、安定性を保つかです。 柔らかい腹部は、押手を深くするのではなく、切皮の刺手のはじきを確実にして皮膚を切ることを確実にすることです。湧泉など強い切皮をしなければならないときは押手も強くなります。

1 生体に反応をつくるものは全て刺激である。

  ① 環境からの刺激:温度、光、音、空気、雰囲気・・・。

  ② 環境との関わりによる刺激:重力-姿勢、引力-潮の満ち干:姿勢。
                 低気圧-体表:姿勢は関係ない。
    ③ 言葉

2 閾値下刺激

      閾値下刺激を意識して活用する。
      M5,M6、置鍼など。

1  態度:落ち着いて、毅然として

2 触れる順序  いかにもそれらしく、脈を診るなどから、触れるところをさりげなく予告する。 

3 触れる手の条件  心地よさを与える。

  (1) ほどよく暖かい、ほどよく柔らかい、


    (2) 触れ方:さりげなく、ゆったりと


  (3) 手と目線、

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