11月12日(木)の午後7時30分の特報首都圏という番組で、
社会に貢献したいという気持ちを、ボランティアとしてではなく
ビジネスとして成立させられないかという試みを進めている話題が放送されました。
とても感激しました。

社会に役立ちたい、何か役立てることはできないか。
そんな思いを実現できることをビジネスとしたい。
私自身が求めていることでした。

研究したいから研究するではなく、
私の立場でいえば、鍼灸の領域で、研究されなければならないのは何か、
何が明らかにされることが求められているのかです。
研究者として存在するために研究しているとしか思えない研究者が沢山いませんか。

学問、芸術などは、真実は何か。美とは何か。
など人間の心の叫びとして行われようとするものがあります。
それらは周囲とは関わりなく存在します。

しかし、社会生活に必要であるとして存在している仕事、教師、医師、
必要な物をつくりあるいは販売する人達などなど。
社会の期待があります。
社会の期待を忘れ、考えようとせず、
お金を儲けることのみを考えて行われているビジネスが多くなりすぎているのです。
社会の期待などは全く考えず、我が思いのみを追求する。
一見、一生懸命に生きているように見えます。
しかしそれはバブルです。
実態のない泡なのです。
立ち止まりよく考えそのことに気付かなければなりません。
社会が必要とする仕事はみな、社会の期待を考えなければならないはずです。

NHK総合テレビのプロフェッショナルに登場した、 木内博一さんの仕事に対するキーワードです。

農家としての誇り、鍼灸業でいえば、鍼灸師としての誇りです。
その誇りが、種々の仕事を改革して行くアイディアの発想に、
農家としての専門家なんだぞというところに現れています。
専門家だからできる発想ということです。
それは己を知り、社会を知ることでそこに求められるものは何かを、
的確に選び出してくるのです。
専門家としてしっかり現場を研鑽することが根底にあります。
「農業は自然とともにある」という思いです。
このことが仕事のあり方を指し示しています。
主役は仕事をする人ではなく、自然だということです。

仲間を思いやる。
ひとりではできないことを、仲間と共にあることで、
社会に通ずる力にできることです。

この番組にそんな力をいただきました。
鍼灸の世界にそんな改革が必要です。
誰しもがそんな木内博一さんの様なリーダーになれるわけではありません。
しかし、誰もが仲間にはなれるのです。
それはその道の専門家として社会に期待に応えられる成果を
提供できる力を持つことで可能になります。
農業では、人々に喜ばれる作物を作ることであり、
鍼灸では、人々に喜ばれる治療を提供できることです。
しかしこれは職業人としての基本的条件です。
この条件を備えた仲間が、木内博一さんというリーダーの出現を、活躍を可能にするのです。
役割を自覚することで仲間になれます。
仲間とリーダーが必要です。

「人工冬眠」への挑戦:「命の一時停止」の医学応用 市瀬 史著、ブルーバックス。2009年4月

第1章 人工冬眠とは何か
第2章 自然な冬眠の仕組み
第3章 冬眠の驚くべき効用
第4章 冬眠と意識と夢
第5章 全身麻酔と人工冬眠
第6章 代謝と人工冬眠
第7章 低体温医療と人工冬眠
第8章 人工冬眠研究の最前線
第9章 硫化水素による人工冬眠

という目次です。
冬眠という現象が種々の最先端医療と関わっています。
それらのことが興味深く紹介されています。

鍼灸や柔整の専門学校は免許販売業になっていませんでしょうか。

専門学校は、専門領域の職業人を養成する学校です。
専門領域を社会で支え発展に寄与する人材の養成をすることが目的です。
人を育てることです。
学生を育て、教員を育てることです。
今の専門学校の多くが免許販売業になっているように思われます。

ここを抜け出さない限り、我が国において、
鍼灸や柔整の社会における発展は期待できないのではないでしょうか。
4年制大学はどのような方向を社会に示そうというのでしょうか。
一向に見えないように思います。
あるべき筋道を示すことこそが、第一歩です。
目標が明らかになります。
目標がなく五里霧中では力の結集どころではないです。

どのような分野での仕事、研究、学習にしても基礎的な力を培っている間は、
変化に乏しく、面白い展開はなかなかないですね。
基礎的な領域を終えると一つのことが他との関連が見えるようになり、俄然面白くなります。
私の人生で40歳代の10年間は、まさに鍼灸の研究者として基礎的な問題を検討する時代でした。
猛烈に仕事をするのに研究でポジティブな結果が見えないのです。
ここもネガティブ、ここもネガティブということの確認をしていたように思います。
それらを一通りやってみると周囲が見渡せるようになるようです。
そんな基礎的な力を養っている時に、とても励みになるのが、
今でいうとNHK総合テレビのプロフェッショナルなどの番組です。
努力している人達の生活を垣間見せてもらうことが、
ヒントをいただいたり、励ましたいただいたりします。

達成感、それは、何ともいえない爽快感、心地よさです。

目標を決めてそれを達成した時に達成感が生まれます。

達成感は、人生を豊かなものにするために極めて大切な役割をしています。
達成感を持てると、次の目標に向かい努力しようという意欲が高まるのです。
小さな成功の積み上げで達成感を次々感じられる人は、心をウキウキと仕事に向かおうとします。

仕事に、生きることに区切りを付けることが、達成感に繋がります。
区切りを自らの計画でつくること。
他からの条件でつくられた目標を大きく逸脱してようやくたどり着くのでは、
達成感を楽しむ余裕を持たせてもらえません。
お詫びお詫びになってしまいます。

自ら目標を決めることが大切です。主体的に生活することです。
そこに達成感が生まれ、さらに向上しようという意欲が高まります。

1 現代医学に残された七つの謎 ブルーバックス 杉晴夫著

謎の1が、「鍼灸の治療効果の謎」です。
謎の2が、「磁場の人体に及ぼす影響の謎」です。

2 新しい霊長類学 ブルーバックス 京都大学霊長類研究所編著

 
霊長類学豆辞典のような本です。
100の設問にまとめ解説しています。
北アメリカ、ヨーロッパにはサルがいないことご存じですか。
 

経穴への物理的刺激は、皮膚・皮下組織への刺激と筋への刺激で 全く別の反応を生起します。

1 皮膚・皮下組織への刺激による反応

 不快でない刺激により、副交感神経機能を高める反応。
 交感神経α受容体系機能をわずかに高める反応。
 をつくります。
 痛み刺激では、副交感神経機能を抑制する反応。
 交感神経α受容体系機能を高める反応。
 をつくります。

2 筋への刺激による反応

 不快でない刺鍼刺激(雀啄刺激)等による刺激では、
 皮膚・皮下組織への刺激による反応に加え
 交感神経β受容体系機能を抑制する反応が加わります。
 痛み刺激では、皮膚・皮下組織への刺激による反応に加え
 交感神経β受容体系機能を亢進する反応が加わります。
 筋への刺激による反応は、交感神経β受容体系機能反応が
 優位な反応として起きます。
  このように一つの経穴でも皮膚刺激と筋刺激では
 反応は異なるのです。
 したがって、鍼の刺鍼の深さは、筋に刺すのか刺さないのかが
 反応を分けることになり、明確に区別しなければなりません。

中国の古代医学思想においては、鍼灸の治療原則として
「虚証に対しては補術を、実証に対しては瀉術を」というのが大原則です。
虚実に対する補瀉の術とは、単に生体に刺激を与えることではなく、
生体の機能状態が低下しておれば補い高め、
生体機能状態が過ぎておれば取り除き整えることを示しています。
生体機能を本来の望ましいところに調節することを意味しています。
生体機能を調節することを示すことがない治療は、
古代医学でいう鍼灸治療の範疇に入らないのです。

経験的なものとしての治療は、
「虚実に対する補瀉」ということばを使わないにしても
生体機能を調節するものでなければならないのです。

自然鍼灸学による鍼施術は、
メカニズム4は、生体自身の治す力による生体機能の調整方向を示す機転です。
また、メカニズム5・6は、自律神経機能の変動し易さをつくることにより、
患者の生体自身の姿勢が、高まりにくい機能を高め(M5)、
解けにくい過緊張を解く(M6)、反応を選択して誘起する機転です。
術者の術での調節ではなく、患者の生体の仕組みが、
必要な反応を誘起するという調節の仕組みです。

調節の仕方が、術から、科学的な研究により身体の仕組みが明らかになり
生体自身の仕組みが行う様になっているのです。
治療者は仕組みを選択するのです。

9月29日これは再放送でした。
木内博一さんという農業界の革命児といわれているそうです。
農業というなかなか経営が難しい世界で、数々のアイディアですばらしい成果を上げておられます。
鍼灸・手技の世界も極めてマイナーな世界です。
私はこの番組を見てとても元気づけられました。
鍼灸・手技の世界の発展のために新しい視点に立っての挑戦が必要です。
ぜひこの番組を見て欲しいです。 

皮膚、皮下組織に不快でない刺激を与えると副交感神経機能を高める反応が起きます。

副交感神経機能は、多くの人でストレスにより抑制を受けています。
ストレス刺激で抑制されるからです。
抑制されているから不快でない刺激で高まる反応が起きます。
抑制されていないと反応しません。

この反応は刺激の強さに依存しない反応です。極めて軽微な刺激で高まる反応が起きます。
しかし多くは刺激を止めると元に戻ります。
それを持続的に副交感神経機能を高め、身体の治す力を大きくするところに育てるのがM4の工夫です。    「物理的刺激による副交感神経反応の仕組み」 不快でない刺激 → 皮膚・皮下組織に                ↓    副交感神経機能亢進反応が起きる: すぐに元に戻る反応                 ↓刺激を呼気時に → ↓                 ↓

  身体内の副交感神経機能と同期し → 身体内の副交感神経機能が高まる  

           ↑                                     ↓         姿勢を坐位で   →↑                                      ↓                        ↑                                      ↓  上記の高まった副交感神経機能に                          ↓  交感神経機能が同調し          →  交感神経機能も高まる ↓                                                       ↓        ↓                                            両神経機能が高まる   自律神経の調節機能の高まり、治癒力の高まり 持続反応

この①は8月22日に書きました。 筋まで刺入し雀啄刺激する鍼の自律神経反応は、

 1 交感神経α受容体系機能を高める。
 2 交感神経β受容体系機能を抑制する。
  3 副交感神経機能を高める。

上記の三つの反応を同時につくります。

1,3の反応は皮膚に受容器があって起こります。
2の反応は筋に受容器がある反応です。
2の反応は強い反応で3の反応を抑えます。
筋に強い刺激をする治療は交感神経系の反応を主とする治療です。
難治性の頑固な症状に効果を発揮する可能性が高い治療です。
治療はかなり過激になります。

3の反応を用いる治療は、副交感神経系の反応を主とする治療です。刺激の柔らかい治療になります。
このテーマの③は10月に書きます。

「7つの習慣」をキーワードとする本が出版されています。
アメリカン・ドリームといわれますが、アメリカ独立以降の成功物語を分析したところ、
誠意、謙虚、誠実、勇気、正義、勤勉、節制の7つのことが
大きな力になっていたということが分かったのだそうです。
そのことを解説した書物です。
上記のものは何れも習慣化することで力になるということで、7つの習慣としてまとめています。

中で紹介されているサミュエル・スマイルズの詩が紹介されています。

    思いの種をまき、行動を刈り取り                             
    行動の種をまいて習慣を刈り取る
    習慣の種をまき、人格を刈り取り
    人格の種をまいて人生を刈り取る

第一の習慣は主体性を発揮する、選択する力です。今日、8月30日は選択の日です。
主体的に生きることが大切なことです。

我が国でも政治の世界に大チェンジが起こりました。
国民目線の若い議員が多数誕生しました。
この議員たちが国民目線を失わずに政治家として力を付けてくれることを期待したいですね。
国民のひとりひとりが主体的に生きて選択する。
各自が私が行うことを自覚して生きることの大切さを教えるチェンジにしなければなりません。

心地よい鍼の技術の中で、柔らかい鍼刺激技術があります。
それは押手、刺手の柔軟さにまず基本があります。
如何に速やかに力を抜けるかにもあります。

意外に大切なのが、鍼管の操作です。
切皮をする。
鍼管を外す。
切皮に集中しますが、できたと思うとつい気が逸って、
急いで鍼管を外す動作をしてしまいます。
これが問題です。
鍼管を急いで外すと、次の鍼の刺入動作が、急ぎがちになり易いのです。
急ぎがちになることが問題です。
ゆったりした鍼管を外す動作が、ゆったりした鍼の刺入動作を導いてくれます。 

筋まで刺入し雀啄刺激する鍼の自律神経反応は、

1 交感神経α受容体系機能を高める。
2 交感神経β受容体系機能を抑制する。
3 副交感神経機能を高める。

上記の三つの反応を同時につくります。

内臓、臓器に対して、交感神経β受容体系機能と副交感神経機能は、
拮抗的に支配しています。
したがって、両方が高まる、あるいは両方が抑制されるという時には、
支配される臓器の機能の変化は、両神経機能の差だけになります。
しかし、交感神経β受容体系機能抑制、副交感神経機能亢進という変化の組み合わせは、
両神経の働きが合計されて臓器の機能を変化させます。
大きな変化を起こすことになります。
そこに、鍼治療の要注意点があります。

14日は私の71歳の誕生日でした。

鍼灸の教育。研究、臨床を一体として実践してきました。
一番望ましいあり方で仕事をさせてもらいました。
どのような教育の場を与えられるかは、
必ずしも自分自身では選べないところがあります。
しかし、研究、臨床は一体化しようとする本人の意志に関わるところが大きいと思います。
20代、30代、40代、50代、60代とそれぞれありました。
20代は、教員に成り立て時代でした。教育実践に熱中しました。
30代は、現代医学と鍼灸の研修時代でした。勉強し社会に育てられました。
40代は、鍼の臨床研究時代で、この10年間の終わりに10年間の研究の歳月を費やし
「浅刺・呼気時・坐位の刺鍼法」が誕生しました。
そして「自然鍼灸学」として身体の自然の仕組みを活用する鍼灸治療法の誕生です。
50代は、「自然鍼灸学」臨床実践の時代です。
60代は、大学運営と「自然鍼灸学」実践展開の開始でした。
各時代がそれぞれ新しい展開をしてきました。
それは前の時代を踏まえて可能になることでした。
年を重ねるということの意味を実感する71年です。

何かウキウキしませんか。私は仕事が嫌いなわけではありません。
むしろ楽しんでやっています。
しかし、休日の前日、夏休みを迎える時など何かウキウキします。
本当に楽しいことを普段より沢山できる様な期待がします。
そんな思いになれる幸せを感じます。

何も考えずに、頭の中を空っぽにして、
ぼんやり過ごせる数日間を楽しみましょう。
そんな幸せさえ確保できない人達が沢山おられます。
みんな懸命に努力しようとしているのに上手くいかないことが沢山あります。
みんな一生懸命なのに、麻生総理も一生懸命なのに、
世の中がどんどん変わって行きます。
どちらが努力を傾ける方向なのか、
じっくり考えて選ばないとむなしい思いをするばかりです。
何も考えずに過ごせる夏とは行かないようですが、
しばし夏休みを楽しみましょう。

物理療法は、その治療を受けて体験することで本当の理解がなされるといいます。
私もまさにその通りと考えています。
私は、30年近くも鍼灸の実技実習指導から遠ざかっていました。
昨年、今年と久しぶりに参加する機会があり、改めて考えさせられました。
臨床にもそれなりの体験をした現在の私が考える鍼の実技実習は、

1 鍼基礎実技実習:安全に、痛くなく、確実に刺鍼する技術を学ぶ。

2 鍼臨床基礎実技実習

2-1 鍼臨床基礎実技実習1 身体各部への安全な刺鍼法を学ぶ。

2-2 鍼臨床基礎実技実習2  治療技術の一つ一つをその治療法と効果を体験させる。

  従来、治療法の効果を体験させるという部分が多くは行われていなかったと思います。
  現在、そのようにやっておられる先生は立派だと思います。
  臨床的な力量が高まってこないと発想できないことなのかなとも考えます。
  文部科学省の学習指導要領に関わっていた頃の私には、
  まだその発想がなかった様に思います。
  経験を積んだ臨床的に、研究的に、教育的に力量を高めた指導者が必要です。
  それなりの環境がないと人は育たないものです。

3 鍼臨床実技実習 症状を持つ人達を実習対象にする臨床実習です。

  平成7年から鍼灸の臨床実習施設が設置義務化されていますが、
  専門学校の多くでは極めて不十分な状態です。

 2 鍼臨床基礎実技実習の段階までは、せめて充実したいものです。

新しい環境で仕事をする機会を与えられる度に、新たな学びをしています。
毎年バージョンアップをしています。次々と新しい展開ができるのです。
バージョンアップを支える補強のための勉強が必要になります。嬉しいことです。
日々忙しく過ごしながら、しかし、仕事を専門的なことに集中することさえ心がければ、
常に専門的なバージョンアップが可能な様です。
今まで至らなかった部分の強化ができます。感謝の一語です。

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