1 街路樹、公園など人口植樹による生育条件の良くない木々は降水量リズムの乱れに泣いている。

2 日本人の健康障害

  平成13年の国民生活基礎調査によると
  自覚症状のあるもの(有訴者)推計:4,055万人、国民の3人に1人。

 

 腰痛  1,210万人
 肩こり  1,170万人 
 手足の関節が痛む    742万人
 咳や痰が出る    706万人
 体がだるい    618万人
 いらいらしやすい    381万人
 眠れない    345万人

1 1日のリズム(サーカディアンリズム)

1日のリズムが医学的に良く研究されてきている。
人間の生理機能はほとんど1日のリズムで変化している。
生体のリズムに合わせて薬を用いようとする研究が進んでいる。
人間の脳にある「体内時計」は、1日25時間のリズムを持っている。

2 28日のリズム

健康な成熟女性の月経周期は、27日から29日であることが多い。

1 40億年の生命の歴史は遺伝子として伝えられている。

2 形態と機能が遺伝される。機能の上で生活上の行動を本能という。

3 ヒトにおいては食欲、性欲、集団欲を本能という。

4 動物には本能の上に学習としての生きる知恵が多くの動物で報告されている。
毒を含む部分を食べない(ゴリラなど)知恵を持つ動物が報告されている。

5 チンパンジーは、成熟メスの膣に指を差し込み発情を調べている。

6 サルと共に進化してきたヒトは、サルが持っていた生きるための知恵はもっていたと思われる。しかし、現代人は動物が持っていたこれらのほとんどを失っている。

7 第二次世界大戦後、日本社会は核家族化し家庭の中で伝えられてきた生活の知恵も多く失われようとしている。

1 地球の誕生 46億年

2 生命の誕生 40億年

生命は、40億年かけて現在の多くの生命体に進化している。
各生命の個体は死ぬけれども、生命は連続されている。
生命は、40億年の積み重ねた歴史を持っている。
計り知れない時間の長さである。
40億年の長い時間の歴史を持って私達1人1人が今、存在している。

3 太陽系の地球

365日で太陽の周りを一周する。1年である。
地球は北極と南極を軸として24時間で1回転しながら太陽の周りを回る。
このために太陽に向かう昼と太陽の反対側を向く夜とができる。1日のリズムである。
また、地球自転の軸は、地球が太陽を回る面に対して垂直な軸から23.4度傾いている。これにより四季のリズムが生まれる。
1日のリズム、四季の年のリズムは、生命の源ともいえる太陽エネルギーにより支配されている。
太陽エネルギーは、紫外線、可視光線、赤外線として地球に届いている。
太陽エネルギーの地球への供給に、各地において1年の四季のリズム、一日の昼夜のリズムが生じ、生命活動の元をなしていると考えられる。

日本酒を1日に3合以上飲む人は、2合以下の人に対して医療費が最大で6割以上多いことが判明した。

私が自然治癒力への関わり方を身につけたところで、平成4年に筑波技術短期大学が付属診療所を開設し、鍼灸施術所で本格的な臨床実践活動に入り、同年に気管支喘息患者の臨床研究から、低周波通電療法が生体に特定の反応を創るものではなく、自律神経機能の変動しやすさをつくっている。その後の生体反応は、治療を受ける体位が決めているというメカニズム5,6の開発となります。
そして、平成5年(1993年)には、「生体機能を活用する治療」、「生体機能活用治療学」などの言葉を使い始めました。

臨床からの鍼の治効:六つのメカニズムの4,5,6の開発です。

私が臨床研究をできる場、臨床眼力を磨く場、臨床実践を行う場みな、実にタイミング良く提供されたことがこの「科学的視点」に立った「臨床鍼灸治療学」を誕生させました。

社会の変化、力が、要請が創らせたものです。私の40数年の大変恵みを受けた職業人人生が社会に還元し、貢献してくれるであろう成果です。

あらゆるものに感謝の書です。

鍼灸の科学化の大きな起点になったのは、昭和57年(1982年)の自律神経遮断剤によって、筋まで刺鍼しての刺激時に起きる自律神経反応が、交感神経β受容体系機能を抑制し副交感神経機能を高めることが同時に起きていることが判明したことです。

この同時に起きている二つの自律神経反応を分けようというのが次の課題であり、私の40歳代は、平成4年(1992年)に分けることに成功するまでの10年間の人体機能と向き合う10年間が人体が持つ自然、自然のリズムに目を開かせてくれました。

二つの自律神経反応を分離することに成功して生まれたのが「浅刺・呼気時・坐位の刺鍼法」であり、生体の調節力を高める、自然治癒力を高める生体への刺激法の誕生です。

この間、1985年につくば科学博が「ゆるぎ石」を創ってくれ、私はその大きな意味に気づかないまま、朝夕、大学に通勤しながら眺めていました。

そして、1992年にハットその意味に気づき、運命的な出会いを感じました。

30歳代、40歳代時代の、人を対象とする「末梢循環」、「自律神経機能」を指標とする実験研究が日常状態下における人体の機能の理解に大きな役割を果たしました。
鍼灸の臨床力を高めるに大変役立ちます。
実際に臨床に従事するよりも応用力を磨くという点では数倍の価値があると思います。
若手の方々の臨床研修の過程に是非加えたいコースです。

恩師芹澤と23歳離れていたことが、40歳で東京教育大学理療科教員養成施設長を受け継ぎ、国立大学の教員という社会的財産を受け継ぎました。
そのことが、厚生省、文部省、科学技術庁等の国家機関や東京都が行う鍼灸関係の事業にほとんど参加し多くの経験と研究の機会を与えられました。

社会的に可能な限りのチャンスを与えられ、種々のチャンスに追われることなく、チャンスに乗って多くを学び活かしてきました。

大学の助手としてスタートしたばかりの私は、鍼灸についてほとんど実績のない中で、あちこちの勉強会、研究会に参加させていただくこととなり、また、医学について東京大学医学部内科物理療法学教室で研修させていただいていたこともあって医学的視点から鍼灸を見つめ検討する勉強を猛烈なスピードで行いました。

昭和48年(1973年)には厚生省の「特定疾患スモン研究班」がスモン患者に対する東洋医学研究を開始し、恩師芹澤は、東洋医学の班長を務め、私が実務担当者として医学部の先生方と共に研究に当たりました。
これは、私が平成11年(1999年)に筑波技術短期大学長になるまで続きました。

医学的視点、科学的視点から鍼灸をとらえることで、私は救われました。

そして「仕事が趣味か、趣味が仕事か」という生活が30数年続きました。

社会の変化が私を育てました。

図らずも鍼灸を学ぶことになり教員資格も得て、10年間、鍼灸を受け入れられず、好きになれず、とても定年までは勤められないと、どこかに活路を見いだそうともがいていました。
昭和46年(1971年)、「鍼灸とは何か」という答えを自分自身のために見いだすために鍼灸の研究の道に入りました。
そしてその年の夏、中国の針麻酔報道があり、全世界の医学界が、鍼灸を注目することとなり、インデックスメディカスに登場してくる論文数が、年間に10編前後であったものが、一気に100~200編に急増しました。
鍼灸を取り巻く環境が一変しました。

私は、見学に見える人達に鍼灸や柔道整復の臨床を見学して「何を見るのですか」と質問することがよくあります。

私は、次の五つの点について見なければいけないといいます。

 (1) 右手は、
 (2) 左手は、
 (3) 目は何を見ている、
 (4) 姿勢は、
 (5) 何をしようとしているのか、

特に、(5)の何をしようとしているのかが一番大切なことです。
鍼を刺しているというのは見れば分かります。
しかし、鍼を刺して何をしようとしているのかを見なければならないのです。
それは、頭の中を見ることです。
聴くことです。

先生は今、何を考えているのですかとか、何をしようとしているのですかとか問うても多くは応えてもらえないでしょう。
失礼なと思われるのがせいぜいです。
先生の頭の中を読むのです。
そして、先生はこういう風に考えておられますかと問うのです。

視覚に障害があったりすると自分が見えないという障害を大きく感じてしまうことがあります。
しかし、世の中の多くのものは、私達は直接自分の目で見ているものより、誰かの目で見たもの、あるいは目では見えないものがなんと多いかということです。

教育でも初歩の段階は、「百聞は一見にしかず」といわれるように、自分の目で見ることがかなりの比重を持ちますが、高等教育の段階では目では見えない部分が大きくなってくるのです。

名人の心は、目だけでは見えないところにあります。
目だけでは見えないところをいかによく見るか。
21世紀社会は、あらゆるところでその能力が問われる時代です。

志を同じくして努力している仲間、そんな中に学ぶべき材料があるのだと思います。

古典よりも現代のものです。
まず、身近なもの、それは、時間的、空間的に環境を同じくしているために共通な部分が多く理解しやすいのです。
また、色々な欠点が見えやすいのです。
そのことが、私達に身近なものの価値を見誤らせていることでもあると思います。
一番、能率良く学べるところで他から学ぶという精神を研き、鋭い感受性を養うことが、環境条件の異なった外国の話、古典などから学べるようにしてくれるのではないでしょうか。

外国の話や古典や、普段会ったことのない偉いといわれる人々の環境要素の違うことからくる物珍しさに惹かれていては、本当のものは見えないのでしょう。

身近な仲間から学ぶ機会をどのようにセットするか。
そして本当に仲間同士で学ぶ心をどうして培うかが鍼灸や柔道整復の名人の心を知ることに連なってくるのではないでしょうか。

猫に小判、馬の耳に念仏など昔からことわざが多くあります。
いかに優れたものも見る人が分かる心を持っていなければ意味がないわけです。
大切なのは見る人の、聴く人の心です。ものの価値を知る心です。
価値を知る心とはどのようにして培われるものでしょう。
マラソンを知っている人だけが、本当のマラソンの辛さを知るといわれるように何事も本当にその道に精通してこそりかいできるものということでしょうか。
しかし誰しもが最初からものに精通できるわけがありません。

他人のものがよく見えるというのは極一般的なことなのでしょう。

鍼灸や手技療法、柔道整復術のような違憲的技術を主体としたものは、言葉では色々表現されても実態はそれほどの違いはないものと思われます。

もう随分昔に鹿児島で拝聴した薩摩焼の第14代窯元、沈寿官氏の講演は印象的でした。 
鶴首花瓶という細い首を真っ直ぐに作るには、首をろくろで伸ばすときに、息を止めて行うということでした。
息を止めて行う。たったそれだけのことですが、花瓶の製作としては極わずかな、ちょっとした部分でしかありません。
しかし、そのほんのちょっとしたことが、真っ直ぐな首を作れるか、首が曲がってしまうかという結果において大きな違いを生むのです。
花瓶を製作している状況を連想してみてください。
息を止めるか止めないかの違いなど、外見からほとんど違いはないでしょう。
技術などの違いは、何れこの程度の違いなのではないでしょうか。
呼吸の吸気時と呼気時における微妙な骨格筋の緊張の変化が手先に伝わり、細い首を作るときに外見からは分からない程度の変化を与え、焼き上がったときには首が曲がってしまう。
しかし、息を止めて行うことにより一定した力度で首を作ることによって曲がらないという、たったこれだけのことを何十年もかかってようやく発見しているのです。
大変な努力の結果ようやく真っ直ぐな花瓶ができるようになりました。
しかし、その何十年の努力の結果えたものは言葉にすればたった一言、「息を止めて」というだけなのです。

写真は、鹿児島県蒲生市の「楠の大樹」です。

我が国で第1位の大樹です。
樹齢1500年といわれています。
悠久の生命を感じます。

地球上の生命は全て億年の歴史の中で一体となります。
全て同じ祖先からスタートしています。
全て我が身です我が身のためにではなく、他のもののために仕事をする。
社会のために仕事をする。
世界のために仕事をする。
このことこそが「今、求められています。

本気で好きになることは、「本物の優しさ」を生むエネルギーになります。
私達は、みんなで「本物の優しさ」を発揮して仕事ができるよう「本気で好きになりたいのです」。
一つ一つを賢く判断し、仕事を通じて「心の豊かさ」を求めたいのです。

お灸は、

 1 温灸:心地よい暖かさを与える。:副交感神経機能を亢進  M4効果を持つ。

 2 熱痛刺激:交感神経α受容体系機能を亢進
        副交感神経機能を抑制
     一過性の極短時間の熱痛刺激は、上記の反応を一過性に起こし、血管運動神経
     機能の変動しやすさをつくる。
     連日施灸することにより血管運動神経機能を鍛える。過敏な血管反応性を整える。
     出来るだけ小さなモグサによる施灸が望ましい。 

 3 有痕灸:自律神経反応は、熱痛刺激と同様である。
        :免疫機能を高め、体質改善等。虚弱体質、RA等に用いられる。
     出来るだけ小さなモグサによる施灸が望ましい。
     施灸間隔は、通常は週に5日程度。
     有痕灸は、異物としての灸痕を維持できる間隔。2日以上明けない。

湧泉への刺鍼は、痛いと思っている人達が多いようです。
鍼灸学校の教員、先輩などからそのような先入観を与えられるようです。
 
湧泉への刺鍼は、決して痛いものではありません。
 
足底の皮膚が厚いので切皮にこつがあります。
一段切皮で刺入してしまいます。
したがって、3番鍼程度が使用に望ましいところです。

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