筑波山は、標高877mの関東の名山です。晩夏ばてを掲げて行きました。
頂上は地上よりも3度ほど温度が低く快適でした。
筑波山の西山麓(標高190m)に8世紀に開山された薬王院というお寺があります。
三重の塔など県の文化財になっています。
それよりも私が関心を持っているのは「すだ椎」の巨木群です。
薬王院まで標高600m程下りますが、猛烈な急な階段でした。
400m程下った時、約40分程経過していました。
膝ががくがくして、やっと階段が終わったとき、小砂利で滑り尻餅をつきそうになりました。
堪えたのです。
このときに堪えたのは体幹筋でした。深層背筋のセルフストレッチが生きたと思いました。
股関節、膝関節などはほとんど動けないのです。
膝ががくがくして困ったと思い、腰を下ろしをM4を10回しました。指でです。
この間3分間ほどでしたが、膝のがくがくが改善しました。
1時間10分かかって薬王院につきました。
しかし、今下ってきた道を戻る気にはなれず、筑波山の裾を回って筑波山口まで戻ることにしました。
1時間20分かかりました。
この間、体幹部はほとんど疲労感がないのですが、脚がくたびれ2回、M4をしました。
やはり疲労感が改善します。歩いたのは2時間30分ほどでしたが、脚は確実にくたびれました。
富士山は無理だな、屋久島は無理だなという思いをしました。
何とか下肢の機能低下を改善させなければとの思いです。
 
しかし、M4の効果、深層背筋のセルフストレッチ効果は確かです。
8月の一ヶ月間ほとんど雨らしい雨が降りませんでした。
連日の暑さが精神的に苦痛を与えています。何かうんざりします。
テレビの気象の時間で、今日も晴れて暑さが厳しいでしょうという台詞を聞くのもいやになります。
私もついに愚痴を言い始めたようです。連日氷ばかり食べて胃がおかしくなります。
身体を動かすのも、出かけるのも億劫になります。
 
このまま内向きになっていると病です。
こんな時こそ、出かけ、暑さを思い切り身体で受け止め汗をかかなければなりませんのです。
 
今日は筑波山にでも出かけ、汗をかき、山の冷気に触れ、心身をリフレッシュすることです。出かけます。
腰痛はアタマで治す:伊藤和磨著、集英社新書
著者は、プロサッカーの選手でした。腰痛で引退せざるを得なかったそうです。現在のように腰の痛みを治そうとすることのみ追求していては、痛みは軽減しても腰痛からは解放されない。なぜ腰痛が起きるのかの根本の問題を解決しなければならない。
鍼灸等は、腰痛患者が受けている治療の5人に1人ほどを担当している。是非参考にしなければならない意見である。
 
パンツは一生の友だち:西村かおる著、現代書館
 著者は、排尿、排便などの専門指導者である。イギリスに留学され学んでおられる。パイオニアとしての生き方も伺える内容である。
食事、排泄、清潔保持、これらの生きることの基本的事項は、 生まれて数年は親や周囲の人たちのお世話になる。 生活習慣として身に付け自立する。 自分自身で自分の身体の世話をすることである。 その後、老いてまたお世話になり生涯を閉じる。
生涯、自分であるか、自分以外の人であるかによる、お世話が必要なのである。
子供が生まれるときには親がいる。親が子供の世話をする。 何かの事情で親がお世話をできないときに誰がお世話をするのかが問題になる。 親は子供を立派に育てたいと願い努力し世話をする。
平成21年の日本人平均寿命は、男性:79.59歳、世界5位。女性:86.44歳、世界1位である。 しかし、平均6〜7年の要介護期間がある。丁度、子供が小学校入学までの期間に相当する。 この6〜7年の要介護期間のお世話を誰がするのか。
平成21年度の医療費は、35兆3千億円であった。70歳以上:15.5兆円で、44%である。 医療費も介護保険も破綻しそうである。
6〜7年のお世話期間を短くし介護の必要量を少なくするには、生活習慣の充実こそが求められることである。 介護をどうするかではなく、介護の必要のない人生設計をどうするかこそが重要なことである。 自分が自分自身の心身のお世話をする生活習慣の充実こそが、人生の最後を決めるカギを握っているわけである。

セルフストレッチの方法

1 姿勢:背もたれのない椅子坐位、もしくは立位。

2 方法:息を吐きながら動かす。十分に動かした最後の姿勢を3秒間保持する。

3-1 腸肋筋:上半身を回旋する。脊柱全体の問題なので、腰部を回旋しよう、
    肩甲間部を回旋しよう、という様に意識を集中して行う。片側3回程度。

3-2 棘筋、最長筋、半棘筋:体前屈、上記と同様である。

3-3 最長筋:体側屈

3-4 多裂筋:上半身を大きく回す。

上記の運動はどれもラジオ体操で行われている体操である。

深層背筋は、上・下肢の運動に直接関わらない、
上・下肢の発生する以前からの筋群とも考えられる筋群です。

生命維持に関わりの大きい筋群であることが考えられます。

2008年にNHK総合テレビでラジオ体操は、「体力的効果は望めない」という放送がなされました。
覚えておいでの方も多いと思います。

「命に関わる機能が高まる」のだというのが、2008年10月22日のためしてガッテンの放送でした。

私は、深層背筋のセルフストレッチをしてみました。やってみてびっくりしました。
セルフストレッチで行うことになる運動が、ラジオ体操の中に全部あったのです。

「命に関わる機能が高まる」というのは、思いがけなくバランスを乱すような場面に直面したときの身のこなしが良くなるということでした。
それは脳のイメージの問題と説明していましたが、深層背筋の機能を高めると考えるとそれでも説明が可能です。

ラジオ体操は、リズム運動です。拮抗筋抑制というメカニズムで筋の過緊張が解けやすくなります。
セルフストレッチをするとさらに深層背筋の疲労が解けやすくなります。

ラジオ体操をして、セルフストレッチをするというのが理想的です。
来週、深層背筋のセルフストレッチの方法を書きます。

鍼灸治療を求めている人々は沢山います。
身体の機能の調整をし力を高めて健康管理をすることは最も期待されることです。
50歳過ぎたら誰しも身体の調整が必要です。
全ての人です。
予防にこそ鍼灸の力が求められています。
しかし、求めてはいるけれども鍼の刺激感はどうもという人たちも沢山います。
鍼灸の真髄は、経験医術として、身体の仕組みを、身体の力を主体とした調整をするというところにあります。針を刺すことだけが鍼治療ではないのです。
鍼について研究するということは鍼とは何かということを知ることがまず求められます。
浅刺を偽鍼としてなどは、鍼を知らないのです。
鍼を知らない研究者が大きな顔をして鍼の研究をしています。
滑稽でしょう。
本物を見分ける力。
本物を区別できる仕組みがあっての統計です。
話が逸れました。
鍼の刺激感のマイナスイメージを除いた治療の体系を作りましょう。
鍼の発展は鍼は良いねという人たちを多くするところにあります。
明るい未来は期待できます。
鍼灸師を養成する学校は、ほとんどが欠員です。
定員を超える応募者を確保できません。
大きな原因は、社会に成果を示していないからです。
平成10年代以前、新設校ができる前は、学校数が少なかったために、入学は難関校でした。
それなりのレベルの国立大学、私立ではトップクラスの大学に入学できる学力がないと入れないという状況でした。
学生の学習能力が高かったのです。一人で学べる学生たちでした。
社会の鍼灸師を受け入れる状況は現在とほとんど変わっていません。
学生は自分の道を自己開拓していました。
今は、学生の平均の学力レベルは低下しています。
入学が楽にできるようになったからです。誰でも入学できるようになったからです。
当然、学習能力は低下します。
そこに国家試験に特化した教育をしなければならない理由があります。
学校にも、学生にも免許を取得することは必要条件ではありますが十分条件ではないのです。
鍼灸治療ができるようになることが十分条件です。
このための努力が必要です。
鍼灸専門科目の教員の質を高め、治療のできる実践教育が行えるようにすることです。
そこに突破口があります。
学生は生き生きと学び、意欲に満ちた鍼灸師になろうとし、仲間に勧めるようになります。
4 背部深層筋の機能と刺鍼部位   鍼は、寸3、1番を標準とする。 
4-1 背部深層筋の鍼施術の観点 
   ① 鍼施術と気胸 
 最長筋を含めて棘突起との間を刺鍼対象にする。 
4-2 ① 脊柱の姿勢バランス:腸肋筋、大きな力を出していない。刺鍼の対象にしない。 
4-3 脊柱運動の主力筋:最長筋、棘筋、多裂筋 
   ① 脊柱の伸展:最長筋、棘筋、多裂筋 
   ② 脊柱の側屈:最長筋     
   ③ 脊柱の回旋:右回旋:右腸肋筋、左回旋筋
   この筋の疲労による短縮は左回旋を邪魔する。 
4-4 最長筋、棘筋、多裂筋は、横突起と棘突起の間にある。 
   ① 最長筋、棘筋は、8、9胸椎以下3腰椎の高さまで
      最長筋は棒状緊張部。棘筋は棘突起の際。各筋に標準2〜3本。
   ② 多裂筋は、仙骨部から8、9胸椎の高さまで。
      最長筋の緊張の内側と棘筋の間に刺鍼する。片側に5〜6本。       
4-5 脊柱、頸部の運動 
   ① 肩甲間部から7頸椎までの部
     半棘筋、多裂筋、板状筋が刺鍼対象になる。片側4〜5本。  
5 背部深層筋のストレッチ 
5-1 ストレッチの考え方 
   ① 姿勢を活用しストレッチする筋を伸展させておいて筋を伸ばす。
      姿勢を選ぶことが大切。そして施術対象筋を動かす。 
5-2  ストレッチの姿勢 
   ① 腸肋筋:長坐位で施術筋の脊柱を反対側に回旋させ、施術する。 
     〇 腰部とTh8以下の背部。 
   ② 棘筋、最長筋:長坐位、脊柱屈曲位で施術する。
        施術部位: L3〜Th8の間。 
   ③ 多裂筋:長坐位(立位:脊柱伸展位)、施術筋側に脊柱回旋位で施術する。
      施術部位:仙骨〜腰部〜Th8。 
     〇 Th7〜Th1の部。 
   ④ 半棘筋、頸板状筋:長坐位、脊柱屈曲位で施術する。 
     〇 頚部 
   ⑤ 頭板状筋・半棘筋:仰臥位、頭部を外側の向けた位置で施術する。
「未病の徴としての背部深層筋に対する鍼施術とストレッチ」
1 背部深層筋深層筋の位置(部位)を頭に入れる。
   起始、停止のおよそを掴む。
   筋繊維の方向を知る。
   筋の長さを知る。   
   深層筋をさらに浅層と深層に分ける。
2 「深層筋の浅層」
① 腸骨〜肋骨 脊柱の姿勢バランス
   腸肋筋:胸腸肋筋、
起始
:12から7肋骨角。 
停止
:6から1肋骨角。
        腰腸肋筋、起始:腸骨陵、仙骨、下位腰椎の棘突起。 
停止
:12から7肋骨角、
② 横突起〜横突起 脊柱の側屈、伸展。
   最長筋:頚最長筋、
起始
:T5〜T1。停止:C6〜C2。
        胸最長筋、
起始
:腰腸肋筋とともに起こる。 仙骨の後面、腰椎の棘突起、L2,1の乳様突起、T12〜T6。
停止
:内側尖:L5の乳頭突起、L4〜L1の副突起、Tの横突起。
                     外側尖:L4〜L1の横突起、T12〜T1の肋骨。
③ 棘突起〜棘突起 棘突起のすぐ両側、脊柱の伸展
     棘筋:頚棘筋、
起始
:T3(4)からC6。
停止
:C5からC2。
       胸棘筋、
起始
:L2(3)からT10。
停止
:T9(10)からT2
3 「深層筋の深層」
① 横突起〜棘突起 横突起から上方の棘突起へ、脊柱の回旋、側屈、 伸展
  下記の順序で深層に重なる。 
          半棘筋:
起始
:(C1〜T10)の横突起から   
停止
:後頭骨の上・下項線、(C2〜T4)の棘突起に付く。
      多裂筋:
停止
:2から4椎骨上位の棘突起に付く。
       回旋筋:
停止
:隣接する上位椎骨の棘突起基部に付く。
新潮文庫、池谷祐二著です。590円(本体)です。
日常生活、鍼灸等の臨床、研究に大変有益です。
たとえば、p318、たとえば朝1時間だけ訓練して覚えた場合、
その日の夜には正答率は三分の一に落ち込む。
・・中略・・ 
ところがフェン博士の実験は驚くべき結果を見せた。
こうして低下した成績は翌日の朝に再試験してみると、
三分の二程度にまで回復していることがわかったのだ。
この効果は十分に睡眠をとった人だけに現れた。
つまり睡眠とは忘れかけた情報を呼び起こして記憶を補強する効果があるのだ。
・・・です。 
4月からNHK教育テレビのサイエンスZEROで「五感の迷宮」という番組を
月に一回ずつ放送しています。
4月は視覚、5月は聴覚でした。大変有益な番組になっています。
やはり脳の関与です。
何はともあれ本書を読むことをお勧めです。

3月6日に「9割の病気は自分で治せる」岡本 裕著、中経出版 を紹介しました。

日本の医療の現状を医師として反省し医療を見つめています。
高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満症、痛風、便秘症、頭痛、腰痛症、不眠症、
自律神経失調症などの慢性疾患は、薬物は対症療法であり症状を軽減するのみで根治療法ではない。
むしろ身体の治す力を弱くしてしまい治りにくくする。
生活習慣を改善し身体がもつ自然治癒力を生かすことこそ医療の根本治療と叫んでいます。
患者自身が自分自身の人生と向き合い薬に依存しない自立的な生活が医療の基本です。
鍼灸などの治療も依存性を与えるのではなく、
患者が生活習慣を改善し症状を改善して行く介助役としてあるべきです。
身体がもつ自然治癒力を主とする治療は、介助役として最も推奨されます。

鍼灸師は、患者に本当に望ましい治療を提供しているのです。
自信を持って患者に伝えて行かなければなりません。
そのことが患者の本当の指示を受けられることです。
患者を変え、社会を変えます。鍼灸師の仕事に対する本当の自信が日本の将来を明るくします。
鍼灸師の将来を明るくします。

現在、日本鍼法として行われている管鍼法の開発者、杉山和一は1610年に誕生しました。
今年は生誕400年なのです。鍼灸に関わるものとして、管鍼法は日本が誇る独自の鍼法です。 世界がグローバル化される今日、私たちは管鍼法に誇りを持って杉山和一の遺徳を称えなければなりません。
杉山和一遺徳顕彰会財団があります。5月30日に「杉山和一生誕400年記念式典」が行われました。 日本の鍼は、中国から伝えられたものです。起源は中国です。 しかし、伝来し1500年程も経過しています。 そして、日本の人々に適応するよう独自の発展をし、管鍼法は、日本における鍼の技術革新です。 そして世界に広まろうとしています。 独自の文化に誇りを持ちたいですね。 
1 基本的治療
① 浅刺・呼気時・坐位の刺法 ② 腹部の刺鍼 ③ 背部の刺鍼 ④ 2,3以外の歪みに対する治療 ⑤ 主訴に対する治療 ⑥ 浅刺・呼気時・坐位の刺法
2 臨床からの鍼の六つの治効メカニズム
① M1  (MはメカニズムのM)自然免疫機能を高める ② M2   骨格筋への刺鍼による筋緊張の緩和と血液循環の改善 ③ M3   骨格筋への刺鍼、雀啄刺激による交感神経を遠心路とする体性内臓反射 ④ M4   身体の治す力を高める ⑤ M5   高まりにくい機能を高める ⑥ M6   解けにくい緊張を解く
3 「自然鍼灸学」と治療の実際
A  最も通常のパターン  1 M4  2 仰臥位で(背臥位)       腹部の治療、基本的治療⑤,④の仰臥位でできる治療        M6  3 伏臥位で(腹臥位)        背部の治療、基本的治療⑤、④の伏臥位でできる治療  4  側臥位での頸部治療。  5 長坐位でM5治療、ここではなし。   6 M4     最も通常のパターンについての解説です。  1,2,3,4,5,6は治療の患者の姿勢を表現しています。椅子坐位、仰臥位、伏臥位、側臥位、長坐位、そして1と同様の椅子坐位です。治療の姿勢にポジションを与えたわけです。

6 30分で行う鍼治療の仕組みの基本的考え方

  ① 治療を構成する三つの条件を満たし、削ることのできるものを削る。

  ② 仰臥・伏臥位の治療で置鍼、パルス治療の刺鍼を先に行う。

6-1 腰痛鍼治療:立位バランスを整える

① 浅刺・呼気時・坐位の刺鍼 7呼吸回          1寸 02番 1本

② 腹部刺鍼   未病の徴                    寸3  02番  10本

③-1 腰部局所刺鍼   10分間置鍼
   大腰筋                                    2寸  3番 2本
   中殿筋                                    2寸 3番  2本
   足底筋                                    1寸 02番  2本

③-2 背部刺鍼      未病の徴                     寸3 1番 10本

④ 浅刺・呼気時・坐位の刺鍼 10呼吸回         1寸 02番 1本

6-2 肩こり・緊張型頭痛の鍼治療

① 浅刺・呼気時・坐位の刺鍼 7呼吸回          1寸 02番 1本


② 背部刺鍼   未病の徴                    寸3  1番  10本
    肩外兪、肩中兪、天りょうの部、肩甲間部、に3本
        Th7以下の背中に2本

③ 側臥位での頸部治療                        寸3 02番 6本
      天柱・風池・Cの4もしくは5の外側。3本

④-1 M6 10分                           寸3 3番 4本

④-2 腹部刺鍼   未病の徴           寸3 02番 10本

⑤ 浅刺・呼気時・坐位の刺鍼 10呼吸回         1寸 02番 1本

6-3 疲労回復の鍼治療

① 浅刺・呼気時・坐位の刺鍼 7呼吸回          1寸 02番 1本

②-1 腰部局所刺鍼   10分間置鍼
   大腰筋                                    2寸  3番 2本
   足底筋                                    1寸 02番  2本

②-2 背部刺鍼   未病の徴                    寸3   1番  10本

③ 側臥位 頸部刺鍼                             寸3 02番 6本

④-1 M6 10分                           寸3 3番 4本

④-2 腹部刺鍼   未病の徴           寸3 02番 10本

⑤ 浅刺・呼気時・坐位の刺鍼 10呼吸回         1寸 02番 1本

鍼基礎・臨床実習:刺鍼の基本的実習から臨床基礎実習へ⑩ で一応のまとめとします。
前回のものに解説が必要かと思います。次週に行います。

5 「自然鍼灸学」と治療の実際
基本的治療の実際例である。
A  最も通常のパターン
1 M4
2 仰臥位で(背臥位)
腹部の治療、  基本的治療5,4の仰臥位でできる治療
M6
3 伏臥位で(腹臥位)
背部の治療   基本的治療5、4の伏臥位でできる治療
4  側臥位での頸部治療。
5 長坐位でM5治療、ここではなし。 
6 M4
B   M5を用いる場合
1 M4
2 仰臥位で
腹部の治療、  基本的治療5,4の仰臥位でできる治療
M6
3 伏臥位で
背部の治療   基本的治療5,4の伏臥位でできる治療
4 側臥位で頸部治療
5  長坐位でM5
6 M4
C   M6をエース治療とする場合。
1 M4
3 伏臥位で
背部の治療   基本的治療5,4の伏臥位でできる治療
4 側臥位で頚部治療
2 仰臥位で
腹部の治療、  基本的治療5,4の仰臥位でできる治療
M6
5 長坐位でM5
6 M4
D  M5をエース治療とする場合
1 M4
3 伏臥位で
背部の治療   基本的治療5,4の伏臥位でできる治療
4 側臥位で頚部治療
5 長坐位でM5 15分
2 仰臥位で
腹部の治療、  基本的治療5,4の仰臥位でできる治療
M6 
6 M4
E  気管支喘息、偏頭痛など
1 M4 ここではなし
2 仰臥位で                  手早く
腹部の治療、  基本的治療5,4の仰臥位でできる治療
3 伏臥位で                  手早く
背部の治療   基本的治療5,4の腹臥位でできる治療
4 側臥位で頸部治療          手早く
5 長坐位でM5  20分間   
6 M4
F 身体の治す力をより強力にする
1 M4
2 仰臥位で                 
腹部の治療、    基本的治療5,4の仰臥位でできる治療
3 伏臥位で                 
背部の治療  置鍼もしくはパルス。基本的治療5,4の伏臥位でできる治療
4 側臥位で頸部治療
5 変動しにくい自律神経機能を改善する。
5−1 長坐位でM5 高めにくい機能を高める。      
5−2 M6        解きにくい過緊張を解く。
6 M4
4−② 閾値下刺激により誘起される交感神経を主体とする反応
目的:自律神経反応系に閾値下刺激を与え自律神経機能の変動し易さをつくる。
方法:低周波鍼通電刺激器を用いて低周波通電を行う。
合谷−孔最を刺激点として(左右に)1Hzで15分を標準に通電する。
電極には3号鍼(長さ3〜5cm)の鍼を用いる。
hy3.gif
3 臨床からの六つの治効メカニズム
① M1  刺鍼による組織破壊が自然免疫機能を高める(MはメカニズムのM)
② M2   骨格筋への刺鍼による筋緊張の緩和と血液循環の改善
③ M3   骨格筋への刺鍼、雀啄刺激による交感神経を遠心路とする体性−内臓反射
④ M4   4−①で後述
⑤ M5   次回4−②で後述
⑥ M6   4−②で後述
4   「物理的刺激による副交感神経反応・交感神経反応の仕組み」
4−① 身体の治す力を高める(自然治癒力を高める)
hy2.gif
Ⅴ 治療の実際練習 
1 治療法の構成
① 主訴に対する治療
② 身体の治す力を整える治療:浅刺・呼気時・坐位の刺法
③ 未病の徴に対する治療:基本的治療の②、③、④の治療
この三つを総合する治療。
2 基本的治療
① 浅刺・呼気時・坐位の刺法
② 腹部の刺鍼
③ 背部の刺鍼
④ ②、③以外の歪みに対する治療
⑤ 主訴に対する治療
⑥ 浅刺・呼気時・坐位の刺法
3 肩甲下筋への刺鍼
① 患者は仰臥位で、肩関節外転位。
② 部位は腋か中央。
③ 中指、示指を腋か中央に真っ直ぐ差し込む。腋か後面に肩甲下筋を押さえる。
④ 寸6二番鍼を用い、中指、示指の間に鍼を置く。
⑤ 中指、示指で押さえている肩甲下筋に刺鍼し、静かに雀啄刺激。緊張が緩むのが刺鍼抵抗の変化で確認できる。
⑥ 五十肩の夜間痛に良く効く。肩こりにも有用。
4 大腰筋刺鍼 2寸の3番を用いる  立位バランスを整える
① 刺鍼部位:上後腸骨棘の縦のライン。腸骨陵の横のラインの交点。これより半横指下がよい。第4第5肋骨突起の間を刺す。
② 押手をおさえない。
③ 刺手は、呼気時刺入。ゆっくり刺入する。
ほとんど刺入感なしに刺入できる。
④ 10分程置鍼。通電はしない。
5 中殿筋刺鍼
① 2寸、3番の鍼を用いる。
② 腸骨陵の下方で中殿筋の過緊張を捉え、足先に向かい45度の角度で刺鍼する。
何も問題はない。 
③ 立位バランスを整える。
6 足底筋刺鍼
① 刺鍼部位:足底でかかとの前方一横指。
② 1寸、01もしくは02番、細い鍼。
③ 押手をしっかりする。
④ 切皮は、1回切皮。
⑤ 1寸の鍼を半分は刺入する。
⑥ 立位バランスに重要な役割。

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